Pay or Not

払うべきか、払わざるべきか。割に合うか、どうか。判断に迷う事や物のコストとリターンを計算します。

空気清浄機 - 買うべきか

近年、花粉症や新型ウイルス、PM2.5等の問題について意識が高まる中、空気清浄機の販売台数は右肩上がりで増大しています。

空気清浄機は結論から言うと買うべきですが、買うとしたら何を買えば良いのでしょうか。いろいろな機種や機能があって迷ってしまいます。

以前、購買行動の記事で空気清浄機について触れました。

payornot.hateblo.jp

 

本記事では、感情や権威に騙されないよう論理的に考えてみます。

空気清浄機の方式と機能について

フィルター式空気清浄機

現在、売られている多くの空気清浄機はこの方式です。ファンで空気を吸ってHEPAフィルターにより粉塵や匂いの元を除去します。(扇風機の逆、または掃除機みたいなものです)
ホコリなどの汚れはもちろんアレルギーの原因物質である花粉やダニなどを除去し、菌やウイルスの除去効果があるとの十分なエビデンスが存在します。フィルター式空気清浄機は汚れや匂いを除去し、健康被害を低減する十分な効果があると言えます。

イオン発生機

空気清浄機メーカー各社がそれぞれプラズマクラスター、ナノイー、ストリーマなどと名付けアレルゲン、菌、ウイルス効果があると主張する機能です。
メーカーが効果があると主張する一方で、外部の研究機関からは実用上十分な効果がないとする調査結果が出されたことが一時期話題になりました。それでも全く効果がないというわけではなく、少なくとも気休めにはなります。健康上のリスクがあるとの意見もありますが後述の静電式ほどではないでしょう。気になるようならイオン発生機能はオフにして使いましょう。
イオン発生器だけの商品がありますが、当ブログではお勧めしません。

静電式空気清浄機

イオン式とも言われる方式です。ファンやフィルターを使わず、静電気の力で空気中の粒子を吸着するものです。
フィルター式に比べて音が静かでメンテナンスが簡単なのがメリットですが現段階では粉塵除去、脱臭性能とも大きく劣ります。また、オゾン発生濃度が過剰で健康上のリスクが大きいとの公的機関の調査も出ています。
部屋のオブジェとしては良いかもしれませんが、空気清浄機としてはお勧めしません。

加湿器

空気清浄機能とはちょっと違いますが、加湿によりウイルス感染を防ぐ効果があることは十分なエビデンスが示しています。また、誰しも単純に乾燥で喉が痛くなったり、加湿によってそれが治ったりした経験があるかと思います。
加湿器は空気環境を改善する機能があると考えて良いでしょう。もちろん使い方やメンテナンスを怠ると菌の繁殖などを招くリスクもありますのでその点は注意しましょう。

その他の機能

メーカー各社がしのぎを削って様々な機能をつけています。それらの中には効果があるものもあれば気休め程度のものもあることでしょう。しかし、誰にとっても良い機能、性能をもたらすものがあれば全社で標準装備されるはずです。
ユーザー固有の事情にぴったり合う機能があれば別ですが、よく分からない機能は無視して良いでしょう。

空気清浄機の価値

ということで現在の主流が加湿機付きのフィルター式空気清浄機であることは納得できます。加湿器を一旦脇に置いてもおいてフィルター式空気清浄機の効果は高く、10年使うことを考えれば価格に十分に見合ったものであり、本ブログではフィルター式空気清浄機を買うべきと考えます。

空気清浄機の性能

空気清浄機の性能評価試験方法は日本電機工業会がJEM1467という規格を定めています。

http://www.jema-net.or.jp/Japanese/ha/kuusei/about.html

「一定濃度のタバコの煙を99%除去する」までの時間を計ります。
空気清浄機に「適用床面積」という表示があるのを見たことがあるかと思います。試験の結果を元に、30分で何畳分の空気を綺麗にできるかを計算したものです。適用床面積24畳の場合は30分で24畳の空気を綺麗にできることを示します。8畳に換算すると10分です。
つまり、空気清浄機の価値 = 適用床面積畳数 と考えて差し支えありません。

実用上の価値

ところが実際に24畳の空気を綺麗にできるというわけではありません。1台ではせいぜい20畳以下のリビングに対応できる程度です。
適用床面積という言い方が誤解を生みますが、実際には空気清浄速度と考えましょう。本当に20畳以上の大きなリビングでは2台にするか1台でも置き場所を工夫しましょう。

フィルターには寿命があります。最近の製品では10年以上です。もちろん酷使すればもっと短くなります。さすがに20年も同じ機種は使わないでしょうから実際に交換に至ることはないでしょう。

価値と価格

以下に価格.comから各社の廉価機種をピックアップしました。価格は変動しますのであくまで目安です。

メーカー機種発売時期価格(円)適用床面積(畳)
シャープ FU-E30 2014.11 10,600 13
シャープ FU-E51 2014.11 13,190 24
シャープ KC-E40 2014.8 14,775 18
シャープ  KC-E50 2014.8 16,570 23
ダイキン ACK55R 2014.9 22,221 25
日立  EP-KV600 2014.9 25,000 26
パナソニック  F-VXL55 2015.8 27,997 25

何を買えば良いか

電気代は各社ほぼ同じです。メンテナンス費用もそれほど変わりません。
本体価格は圧倒的にシャープが安いですね。シャープの3機種ではどれを買うべきでしょうか。

FU-E30、FU-E51は加湿機なしの機種です。加湿器不要の場合はFU-E30が良いでしょう。価格差と畳数を見るとFU-E51がお得にも見えますが、気にしなくても良いです。よっぽど広いリビングであればFU-E30の2台置きを検討しましょう。大抵はFU-E30が1台あれば十分です。

KC-E50はKC-E40に比べて畳数が多く幾つかの機能が付加されていますが気にするほどではありません。加湿器付きならKC-E40がお得です。個人的には加湿器が必要なら後で買い足せば良いと思います。

実際にお店に行くと「松竹梅の法則」で中間の価格帯のKC-E50を買う人が多いと思います。実際、価格.comの売れ筋ランキングの1位です。

  • 十分な性能で一番安いFU-E51がおすすめ
  • 加湿器付きなら、KC-E40

価格は日々変動しますが、工業規格が変更になることはまだまだないでしょう。今回示したやり方でOKです。よほど明確な理由がない限り、高い機種を買う必要はありません。ただし、HEPAフィルター採用であることを確認してください。